「未来へつなぐ農業プロジェクト」
~持続可能な農業と環境課題解決に貢献~
SBプレイヤーズは、持続可能な農業を実現するため、「未来へつなぐ農業プロジェクト」を発足いたしました。
本取り組みでは、農業の担い手不足、収益性の向上、環境問題などの解決を通じ、持続可能な農業の実現を目指します。
INDEX
- 未来へつなぐ農業プロジェクトの概要
- 【活動内容】
- (1)田植えの開始(2023年4月)
- (2)栃木県立那須拓陽高等学校と連携協定締結(2023年5月)
- (3)那須拓陽高等学校にてプロジェクトに関する説明会を実施(2023年7月)
- (4)ドローンによる生育状況調査(2023年8月)
- (5)再生二期作収穫体験(2023年9月)
- (6)那須拓陽高等学校にて収穫&環境研修実施(2023年10月)
- (7)東京都内にてAI研修実施(2023年11月)
- (8)製品化に向け、バイオマスプラスチック製造工場を訪問しました(2023年12月)
- (9)収穫したお米を使ったバイオマスプラスチック製品化がスタートしました!(2024年1月)
- (10)那須塩原市でとれたお米由来のバイオマスプラスチック原料ができました!(2024年2月)
- (11)2023年度のまとめ
未来へつなぐ農業プロジェクトの概要
農業は日本の「食」を支える重要な地域産業の一つですが、昨今は担い手不足、収益性の低下や環境問題など、様々な課題が顕在化しています。
「未来へつなぐ農業プロジェクト」は、それらの課題解決に向けた当社の取り組みです。
実証実験のご紹介
この度、本プロジェクトの取り組みの一環として、栃木県那須塩原市内で非食用米の栽培を通じた実証実験を開始いたしました。
具体的なプロジェクト内容は以下の通りです。
活動内容
(1) 田植えの開始(2023年4月)
本プロジェクトにご協力いただく那須塩原市内の農家さんの水田にて、直接ご指導いただきながらSBプレイヤーズ社員で田植えを行いました。
この水田では、再生二期作(1度の田植えで2回収穫できる栽培技術)に取り組んでおり、他の水田より一足早い田植えとなります。
(2) 栃木県立那須拓陽高等学校と連携協定締結(2023年5月)
那須拓陽高等学校内で、SBプレイヤーズとの連携協定調印式を行いました。
那須拓陽高等学校は農業実習を積極的に実施しており、農場にビオトープ(草地や森・池・川・海など、大小にかかわらず生きものの暮らしを支える場所)を整備するなど、環境学習にも力を入れています。積極的に新しい知見を取り入れ、活動している那須拓陽高等学校と協同することで、地域活性化および環境問題の解決に貢献します。
また、今後実施する実証実験を通じ、生徒と共に農業や環境に関する学びを深めることで、未来の農業を担う人材育成へ寄与し、持続可能な農業を目指してまいります。
本件リリース:https://www.softbankplayers.co.jp/news/1-2023-363/?cid=all
中央右下:那須拓陽高等学校藤田校長先生/中央左下:SBプレイヤーズ(株)代表取締役社長 藤井宏明/他、生徒さん
SBプレイヤーズから那須拓陽高等学校へ、生産した非食用米を加工するバイオマスプラスチック工場への見学ツアーや、実証実験に使用する器材についての目録を提供いたしました。
今後、那須拓陽高等学校、そして那須塩原市内の農家さんと共に、様々な実証実験を実施いたします。 「未来へつなぐ農業プロジェクト」の活動および実証実験の内容については、本頁で更新してまいりますので、是非ご覧ください。
(3) 那須拓陽高等学校にてプロジェクトに関する説明会を実施(2023年7月)
「未来へつなぐ農業プロジェクト」を那須拓陽高等学校と共に推進していくにあたり、生徒の皆さんに向けて説明会を実施いたしました。
前半では「持続可能な農業とは何か」というテーマから始まり、農業における環境課題について一緒に考え、後半では今後予定しているICTを取り入れた米の育成や管理の方法について、実機を用いて説明を行いました。農業に対する意見を直接伺えたことは、当社として多くの学びを得る機会となりました。
今後、本格的に推進していく「未来へつなぐ農業プロジェクト」を通じて、那須拓陽高等学校の皆さんと共に農業や環境に関する学びを深め、持続可能な農業の実現を目指してまいります。
説明会風景
説明会資料
農業の課題について生徒の皆さんも交えて意見交換をしました。
(4) ドローンによる生育状況調査(2023年8月)
ドローンによる稲の生育状況調査を那須拓陽高等学校の生徒の皆さんと一緒に実施いたしました。
調査では、自動航行のドローンで上空から水田の状況を撮影し、稲の生育状況を分析します。同じ1枚の水田でも、肥料の散布ムラ、水温の違いなどで生育差が発生します。分析データを活用することで、生育差に合わせた追加肥料散布が可能になります。
また、調査実施に先立ち、ドローン・ジャパン株式会社様より、農業におけるテクノロジーの活用についてご説明いただきました。生徒の皆さんからは、ドローンで収集できるデータに関する質問などもあり、農業の未来について一緒に考えることができました。
ドローンのセンサーによって生育状況を読み取ります。
手動航行、自動航行の両方が可能です。
※写真は手動航行の様子。
水田にて実際に調査を行いました。
(5) 再生二期作収穫体験(2023年9月)
4月に田植えを実施した那須塩原市内の農家さんの水田が、収穫時期を迎えました。こちらの水田では、品種による生育速度や収量の違いを検証するため、複数の品種を栽培しています。
また、全国でも珍しい「再生二期作(1度の田植えで2回収穫できる栽培技術)」の実証実験もしており、那須拓陽高等学校の生徒の皆さんとSBプレイヤーズ社員で一期目の収穫を行いました。昔ながらの手刈りでの収穫体験に、「楽しい!」「農業の大変さと、機械のありがたさがわかった」等の声があがりました。
二期目の収穫に備え、稲株を通常より長く残して刈り取ります。
那須拓陽高等学校生徒の皆さんとSBプレイヤーズ社員
(6) 那須拓陽高等学校にて収穫&環境研修実施(2023年10月)
2023年10月、那須拓陽高等学校の水田も収穫時期を迎えました。本プロジェクトでは、中干しによる温室効果ガスの削減についても検証しており、収穫作業の後は、温室効果ガスの測定データを検証しながら地球環境を守るためにどんなことができるのかを考えました。今回収穫されたお米をバイオマスプラスチックの原料として活用していくことを踏まえ、生徒の皆さんからは「プラスチック米(飼料米)をもっと普及させると良いのではないか」「燃やさず土に還るようなプラスチックを作る」などさまざまなアイデアがあがってきました。これから3月頃までは生徒の皆さんと一緒にいろいろなアイデアを出し合いながら製品化に向けて取り組んでいきます。
収穫の様子。収穫したお米は、バイオマス原料として活用していく予定です。
実際に計測したデータをもとに、農業と地球環境について一緒に考えました。
(7) 東京都内にてAI研修実施(2023年11月)
2023年11月、那須拓陽高等学校の生徒の皆さんをソフトバンク本社にご招待し、AIに関する研修を実施しました。企業の中でAIがどのように活用されているのか実際に見学していただきながら、AIについて学び、農業×AIの未来について一緒に考えました。生徒の皆さんからはAIを農業に取り入れることによって、機械の遠隔操作が可能になるなど、より簡単な、そしてより安全な農業が実現できるのではないかなど、農業の未来についてさまざまな意見が飛び交いました。
研修の様子
いろいろな意見が飛び交いました
生徒の皆さん
(8) 製品化に向け、バイオマスプラスチック製造工場を訪問しました(2023年12月)
本プロジェクトでは、栽培・収穫した米をバイオマスプラスチックの原料として活用し、農業の新たな可能性を模索しています。
2023年12月、米の栽培をお願いしている那須拓陽高等学校の皆さんと、バイオマスプラスチックの製造工場であるバイオマスレジン福島浪江工場を訪問しました。米がプラスチックとして加工される過程を実際に見学させていただいただけではなく、環境課題解決に向けた取り組みや、工場のある福島県に対する思いについてもお話しいただきました。
今回訪問した浪江工場は、東日本大震災後に、復興支援の思いと共に立ち上げられた工場とのことです。被災地での産業と雇用の創出だけではなく、米をバイオマスプラスチックとして活用することで営農再開を支援したいといった思いをうかがうことができました。
バイオマスプラスチックに関するさまざまなお話をうかがい、自分たちの作った米からどのような製品を生み出すことができるのか、いろいろな思いが膨らんだ1日でした。
バイオマスプラスチックの可能性についてお話をうかがいました。
できたてのバイオマスプラスチックを見せていただきました。
同日、東日本大震災・原子力災害伝承館も訪問しました。
(9) 収穫したお米を使ったバイオマスプラスチック製品化がスタートしました!(2024年1月)
2024年1月、本プロジェクトで栽培・収穫したお米をバイオマスプラスチックに加工する工場に出荷しました。いよいよこれから、製品化がスタートしていきます。
お米由来のバイオマスプラスチックの普及を目指し、今後いろいろな製品を制作していく予定です。
その一環として、1月19日に那須拓陽高等学校にて、製品開発に関する研修を実施しました。研修では、製品のコンセプトを皆で話し合い、製品化のアイデアを出していただきました。「どうすれば、自分たちの思いが伝わるのだろう?」と悩みながらも「製品になるのが楽しみ!」といろいろなアイデアを出してくれました。ここで出たアイデアが実際に形になっていく様子は、こちらのページで随時ご報告していきます!
前半は座学の研修
後半はタブレットを使ったグループワーク
(10) 那須塩原市でとれたお米由来のバイオマスプラスチック原料ができました!(2024年2月)
前回のご報告では、本プロジェクトで栽培・収穫したお米をバイオマスプラスチック原料へ加工するため出荷したとお伝えしました。先日、とうとう、加工されたバイオマスプラスチック原料が届きました!
先日、那須塩原市内の工場にお願いし、届いた原料を製品へと加工する様子を見学させていただきました。これからどのようなに形になっていくのか楽しみです。
一般的なプラスチック原料と本プロジェクトで作られたお米からできた原料が混合されています。
加工の様子
(12) 再生二期作2年目、多収米5品種を栽培(2024年5月)
未来へつなぐ農業プロジェクト、2年目の取り組みがスタートしています。稲の栽培に関しては、昨年に引き続き、多収米を複数品種、同時栽培しています。栽培する5品種の内、2品種は昨年と同じ。残りの3品種は新たな品種となります。また、昨年の栽培データをもとに、今年の田植えは昨年より10日ほど早い4月12日に実施しました。早めに栽培をスタートすることで、昨年度以上の収量確保を目指します。
那須塩原市での再生二期作に適した品種を見極めながら、今年も市内の農家さんご協力のもと挑戦しています。
田植えは昨年より10日ほど早く、桜の時期に行いました。
田植えから約1か月。品種による違いも出てきました。
(13) 那須拓陽高等学校にて2年目の説明会実施(2024年6月)
2024年6月12日、連携協定を締結している那須拓陽高等学校の生徒の皆さんに向け、本プロジェクトの説明会を実施しました。
昨年度から引き続き参加してくれる生徒さんも多く、昨年度も実施した多収米の栽培と活用方法の検討から一歩進み、今年度は米の「活用」に注力していきます。説明会に参加した生徒さんからは「那須塩原市の環境課題や対策についてもっと知りたい」「自分たちの作った製品を使ってもらうのが楽しみ」といった前向きな声が聞かれました。
生徒さんからは米の活用方法についていろいろな意見が出ました。
説明会に参加した皆さんと
(14) プロジェクトで栽培したお米由来のゴミ袋が完成しました!(2024年7月)
本プロジェクトではお米をバイオマスプラスチックの原料として活用することを実証項目の1つとして活動してまいりました。この度、その成果の1つとして、那須拓陽高等学校の圃場で栽培・収穫したお米を原料に含むバイオマスプラスチックからゴミ袋を制作しました。地球環境へ配慮したゴミ袋であることを表現するため、稲が地球を守るように抱きしめているイメージが描かれたデザインは、那須拓陽高等学校の生徒の皆さんが考案したものです。昨年からプロジェクトに参加されている生徒の代表からは「今年は昨年とは違う品種のお米を栽培しています。新しいチャレンジになりますが、自分たちにできる限りのことをして、後輩やその先の未来にしっかりつないでいきたいです」と今後の取り組みについて話されていました。
那須拓陽高等学校・サンプラスチック株式会社・SBプレイヤーズ共同で発表会を実施しました。
完成したゴミ袋は、試験的に校内で使用していきます。
(15) 新米、収穫しました!(2024年8月)
プロジェクトで栽培している5品種の内、1品種が収穫期を迎え、8月8日に稲刈りを実施しました。本圃場では実証実験の1つとして再生二期作を実施しています。2回の収穫を見越し、通常より早い時期に田植えを実施しており、1回目の収穫も予定通り早い時期に行うことができました。
この時期の収穫は那須塩原市内では珍しく、ご協力いただいている農家の方も「お盆前に稲刈りをしたのは初めてです。この時期に稲刈りができれば、2回目の収穫も期待できると思います。」とおっしゃっていました。
栽培している5品種のうち、一番早く収穫期を迎えた「きたげんき」。収量も上々です。
収獲したばかりの籾
(16) 那須塩原市のイベントで新米を配布しました!(2024年9月)
本プロジェクトでお世話になっている那須塩原市で開催された「【畜産まつり】Viehfest in Nasushiobara」にて先月の上旬に収穫した「きたげんき」3000袋を、来場者の方々にお配りしてきました。「きたげんき」は飼料用米多収品種で畜産とは縁深いものの、食用米としては流通されることのない品種とされていますが、我々社員も実際に美味しくいただきました!今回は、畜産にも取り組んでいる那須拓陽高等学校と共に、日本の稲作が畜産に貢献していることを多くの方に知っていただくきっかけになればと思い、出展させていただきました。ブースにお越しいただいた方からは「この時期から新米がいただけて嬉しい」「普段口にすることのない品種を試すのが楽しみ」といった言葉をいただきました。
配布の様子
多くの方にお越しいただき、大盛況でした。
(17) 那須塩原市・高校生・地元企業らとクリーン活動イベントを開催(2024年9月)
2024年9月21日、自然環境の重要性や魅力を体感することで持続可能な環境とは何かを考える機会として、那須塩原市のご後援のもと、本プロジェクトで制作したバイオマスプラスチック製のゴミ袋を用いたクリーン活動イベントを開催しました。瀧口副市長をはじめとする那須塩原市職員や那須拓陽高等学校の教員・生徒の皆さんのほか、プロジェクトにご協力いただいている地元企業及びSBプレイヤーズグループの社員とそのご家族など75名が参加し、那須塩原市内の農業用水源である箒川周辺の清掃活動と、近隣の里山散策をおこないました。また、お昼の休憩時には、地元の食材に加え、当プロジェクトで収穫した多収米を使ったお料理、キッチンカーでのデザートなどご提供いただき、那須塩原市の「食」からも自然の恵みや農業の大切さを感じました。
参加した生徒さんからは「自分たちが制作に携わったゴミ袋を活用したイベントができて達成感があった」「この活動を多くの人に知ってもらい、良い自然環境を作っていきたい」といった感想をいただき、楽しみながら環境問題を学ぶきっかけとなりました。
ご協力いただいた皆様など、プレスリリースはこちら
子供から大人まで、多くの人にお越しいただきました。
清掃活動の様子。午後の里山散策とあわせ、1日を通して那須塩原市の豊かな自然に触れることができました。
本プロジェクトで栽培・収穫した多収米も美味しく調理いただきました。
(18) 高校圃場で夢あおばを収穫しました(2024年10月)
2024年10月、那須拓陽高等学校の圃場で「夢あおば」の収穫が始まりました。多収品種である夢あおばは、同校で以前から栽培している「コシヒカリ」とは、茎の太さや草丈、籾の大きさなどが異なり、品種による違いが興味深かったとのことです。また、こちらの圃場は同校で飼育している牛の牛ふんを活かした堆肥を活用しており、校内での資源循環の取り組みの1つにもなっています。
収穫時期を迎えた夢あおば
3年生による乾燥・調製・袋詰めの様子
(19) 再生二期作の二作目収穫&ウェルビーイング研修実施(2024年11月)
2024年11月下旬に、再生二期作の実証をしている圃場で、二作目の収穫を行いました。関東では珍しい農法でありながら、昨年に続き複数の品種で二作目の収穫が実現し、那須塩原市でも可能な農法であると確認することができました。
後日、那須拓陽高等学校ではウェルビーイングをテーマとした研修を実施し、生徒の皆さんと共に未来について考えました。当日は9月のクリーン活動イベントの協力団体でもあった一般社団法人青空プロジェクトTHE DAYの君島様にもお越しいただき、地域交流についてお話しいただきました。また、同団体が運営する青空食堂に、高校圃場で収穫した「夢あおば」を寄贈しました。今後、地域の交流に活用していただく予定です。研修に参加した生徒からは「ウェルビーイングについて学べたと同時に、改めて那須塩原市の課題や良い点を発見することができた」「少し視点を変えると日頃『あたり前』と感じていることも魅力であふれていることに気づけた」といったコメントがありました。
協力農家の圃場にて、二作目の収穫を実施しました。
寄贈の様子。THE DAY代表の君島様(写真左)からは「那須塩原市に来てくれる人に振舞います。ありがとうございます」とコメントをいただきました。